大量採用成功事例
ここでは300人以上の外国人雇用を行い、工場の人手不足の問題を解決した企業の事例を紹介します。
ポイント:外国人雇用による安定した人員の確保大量求人のメリットや課題
事例紹介 A社
業種:食料品製造 事業規模:900人以上
企業紹介と課題
A社は創業70年以上の食品メーカーであり、30年前からブラジル、ペルー、フィリピン、中国の定住者を雇用し社内に国際的な環境を作ってきました。しかし、若い人の採用が行き詰まり、日本人や定住者の外国人社員の高齢化により生産が頭打ちになるという課題が現れてきました。技能実習生も受け入れましたが、人数に制限があることや、短期間で帰国してしまうために定着が進まず、人手不足の解決の糸口が見つかりませんでした。
取り組み
まず、技能実習生の通訳として高度人材ビザの外国人を採用しました。高度人材を採用した理由は、大卒や短大卒などの優秀な人材であり、日本人と外国人の間に立って教育などを任せられることや、採用して何回でもビザの更新ができるため、長期雇用が可能になるからです。
そして、2019年に在留資格「特定技能」ができたとき、社長命令で特定技能外国人を100名採用することを人事に言い渡しました。特定技能のメリットは5年間という期間の縛りはあるものの、日本で3年間の技能実習生の経験がある人やN2、N3など日本語能力の高い人材を雇用できることです。
3社の支援機関と協力し、ベトナムから食品の技能実習生の修了者を募り、毎年100名以上を受入れ、通算で300名以上の特定技能外国人を受け入れています。
出てきた課題
・社宅などの用意
外国人社員を受け入れるために、まずは社宅の準備をしなければなりません。外国人は自分で契約するのは難しいためです。地元の不動産業者と協力し、一度に30軒を超えるアパートと契約しました。同じ条件で借りられることは無いため、どうしても家賃や職場までの距離に差が出てしまいます。そのため、外国人側からの苦情が出てしまいました。職場まで遠いアパートになった場合には電動自転車を貸与するなどして、外国人の不満解消に努めました。
また、外国人が入居できない物件も多く、選べる物件も少ない為、物件探しに時間がとられました。社宅の家電や自転車を用意することも必要です。漏れがないようにチェックしながらの作業が大変でした。
たとえ人数は多くても、1人1人の社員が確実に入社できる体制を作ることが課題です。
・生活や仕事上のルール作り
人数が多い分、1人1人の問題に対応するまでに時間がかかってしまうため、ルール作りが課題でした。ルールを作る前からどんどん問題が増えていくため、ルール作りの方が追いつきませんでした。
職務マニュアルや勤務中のルールについては社内の教育資料があり、翻訳もされています。ところが、守ってもらうように指導を徹底するには、日本人だけでは教育が追いつきません。そこで、日本語ができ優秀な外国人にリーダーとなってもらい指導をするようにしました。
生活上の問題では、アパートのクレームや同居人とのトラブル、通勤中の事故など、外国人同士では対応できないトラブルの解決に時間をとられます。トラブルが起こらないように事前にマニュアルやルールを作り、守ってもらうように周知することを徹底しています。
・SNSグループを使った連絡手段の確保
人事や総務からの業務連絡は、人数が少ないうちは社内連絡で済みますが、外国人は携帯番号をもっていないことも多く、連絡手段の確保は苦労しました。大人数に一斉に連絡したい場合は、SNSでグループを作り、連絡事項を流すようにしています。SNSグループを作るデメリットとしては、個人的な連絡をグループに次々と上げられてしまうと、日本人スタッフが情報を拾うことが困難になることです。
・定着のための体制作り
外国人社員は、習得が早く優秀な人や日本語力も仕事能力も低い人など様々ですが、300人規模になると、どうしても「ベトナム人」など国籍でまとめてしまいます。ルールなどが守れない人に合わせて厳しく指導をすると、優秀な人のプライドが傷つくため、辞めてしまうなどのリスクがあります。会社としては優秀な人に辞めて欲しくないですが、現場としてはとにかく問題を少なくするために厳しく指導してしまいます。