就労外国人への日本語教育

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どうする?就労外国人への日本語教育

外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、最も急務なのが日本語教育です。

「外国人を採用したが日本語がなかなか上達しない…」
「就労後も日本語を学んで欲しい」
「でも社内では、時間もノウハウもない…」

外国人材を採用する会社が増えているものの、人材の定着が課題というお悩みの声を多く耳にします。その要因の多くは、「日本語によるコミュニケーションの難しさ」があげられています。

あなたの「日本語」、就労外国人に伝わりますか?

皆さんは、町で外国人を見かけた時、何語で話しかけますか。
英語ですか。それとも日本語?


出入国管理庁の報告によると、在日外国人で「日本語での会話はほとんどできない」と答えた人は、わずか3.4%にすぎません。つまり、日本国内で一番通じる言語は日本語なのです。

東愛知新聞「頑張れ人手不足NIPPON! 外国人雇用成功に向けて」第3回記事
東愛知新聞「頑張れ人手不足NIPPON! 外国人雇用成功に向けて」第3回記事

幸せな外国人雇用は「伝わる」日本語教育から

「やさしい日本語」の研究

私は、GIE一般社団法人ガイア国際交流教育研究所の室井です。日本国際教育支援協会(JEES)公認日本語講師・『入門・やさしい日本語』認定講師でもあります。

私は、幸せな外国人雇用について日本語教育の面から研究しています。日本人と外国人のコミュニケーションがうまくいくように、日本人を対象に伝わりやすい日本語を広める活動をしています。
「伝わる日本語 俺の部下外国人」という講座の担当もしています。

GIE専務理事室井 敬子研修風景
GIE 専務理事 室井敬子研修風景

伝わる「やさしい日本語」とは

1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、「緊急のときにも外国人に伝わりやすい言葉は何か」という調査が行われ、「やさしい日本語」の研究が始まりました。

その後、「やさしい日本語」は、行政の窓口や公共施設など様々な場面で、多くの言語で対応するときの言葉の一つとして注目されています。今では日本語を学ぶ外国人観光客の皆さんに「やさしい日本語」を使って観光を楽しめるようにおもてなしをしようという取り組みも始まっています。


「やさしい日本語」は、日本語を母語としない外国人が、日本で安心して生活できるように、私たち日本人が話す言葉遣いをわかりやすく言い換えた日本語なのです。
国内にいる外国人の情報を保障してくれるものが「やさしい日本語」と言えるでしょう。

「至急 高台に避難しろ」と言うより「すぐに高いところに逃げてください」と言い換えた方が、多くの外国人に理解してもらえます。必要な情報を保障してくれるのが「やさしい日本語」なのです。

就労外国人に情報を伝える「やさしい日本語」

「やさしい日本語」のポイントは「ハサミの法則」

「やさしい日本語」で話す時の一番のポイントは「ハサミの法則」です。

  • っきり言う
  • いごまで言う
  • じかく言う


はっきり言う、さいごまで言う、みじかく言う、の最初の文字をとって「ハサミ」です。


「はっきり言う」は、口をちゃんと開けて明瞭に発音することです。
「さいごまで言う」は、文末まできちんと話すことです。「それはちょっと……」のような中途半端な話し方は伝わりません。
「みじかく言う」は、文字通り一文を短くすること。
ハサミの法則の中で一番重要です。

就労外国人を戦力化するには

日本人には当たり前、でも外国人には?

災害が起こった時の避難所で次のようなことがありました。


炊き出しがあることを伝えるのに、「容器をご持参の上、中央公園にご参集ください」という日本語を「いれものをもって、中央公園(ちゅうおうこうえん)にきてください」と「やさしい日本語」に言い換えました。

「やさしい日本語」の出来としては100点満点ですよね。

ところが、外国人には、災害時の避難所や炊き出しは無料だという知識がなかったのです。そのために外国人は避難所に行くことを躊躇し、食べ物も水も貰えませんでした。


私たち日本人が当たり前だと思っていることでも外国人にはわからないことがたくさんあります。外国人の立場に立って、必要な知識や情報を補ってあげてください。
この例ですと、「ただです」という一言があったら、外国人も安心して避難所に行け、炊き出しをもらえました。

言葉の面から、外国人を戦力化する方法

外国人とのコミュニケーションを難しくしている理由は、「外国人の日本語能力の不足」?
それもあると思います。

残念ながら「やさしい日本語」だけでは外国人にわかってもらえません。「やさしい日本語」は魔法の言葉では––ないのです。

相手の日本語力や文化的背景、立場に合わせて言葉を選んだり、調整したりすることが必要です。「易しい言葉」を「優しい気持ち」で伝えることと「相手への理解」は、真の多文化共生社会を実現する第一歩です。

外国人の方も現場で活かせる日本語教育を受け、日本人側も外国人への指示の仕方や話し方のコツを学ぶことで、お互いにストレスのないビジネスコミュニケーションが行えます。


皆さんもぜひ「やさしい日本語」を使って、外国の人に話しかけてみてください。

東愛知新聞「頑張れ人手不足NIPPON! 外国人雇用成功に向けて」

東愛知新聞に、1年間の予定で私たちGIE 一般社団法人ガイア国際交流教育研究所の寄稿が掲載されます。

就労外国人のためのビザの基礎知識から具体的なケーススタディ、外国人スタッフとの上手な日本語コミュニケーションの方法、外国人の受け入れマインドなど

「外国人をはじめて受け入れるけど、何から準備すればいいかわからない…」
「外国人社員の離職が多く、人手不足に困っている」

就労外国人のスムーズな定着、即戦力化について関心をお持ちの経営者、人事担当者の方も多いと思います。

GIE 一般社団法人ガイア国際交流教育研究所は、「幸せな外国人雇用実現」を研究し、「理想の外国人雇用」を実現するのために、各分野の専門家が企業の発展に貢献する機関として設立されました。

雇用する側も働く側も幸せになれる効果のある改善策をご紹介していきます。


第3回:12月17日付記事

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