皆さんは中学校の国語の授業で、「言葉のきまり」や「文法」を習った(遠い)記憶があると思います。
それでは、質問です。
単独で文節を作ることができて(=自立語)、あとに続く語によって、語形が変化し(=活用する)、言い切る形が「だ・です」で終わる品詞は何でしょうか?
正解は、形容動詞です。
「静かだ」「穏やかだ」「きれいだ」「不思議だ」「便利だ」など私たちの身の回りにも形容動詞はたくさん存在しています。
ところが、日本語教育の世界には、「形容動詞」という言い方は存在しないのです。だから、日本語を勉強している外国人に「形容動詞」と言っても??? 一体何のことか分かってはもらえません。実は、形容動詞のことは「ナ形容詞」と呼びます。確かに、「静かな(音楽)」「穏やかな(人)」のように「~な○〇」となりますね。だから「ナ形容詞」なのです。
えーっ、形容詞って、「青い」「美しい」「高い」「楽しい」「寒い」とかじゃないの?
その通り!あなたはかなりの文法理解者。学校で国語の文法、得意でしたね。
これら日本人が形容詞と思っている品詞は、日本語教育では「イ形容詞」と呼ばれます。
「ナ形容詞は、イ形容詞と同様に主体の性質や状態を表す。」と説明されているのですが、この「ナ形容詞」なかなかの曲者なのです。
例えば、①祖母は健康だ。→ この時は「ナ形容詞」です。なぜなら、【健康な祖母】と言い換えができるから。
②いつも願うのは健康だ。→ この時は、「名詞(+助動詞「だ」)」【健康の願い】となるから。
このように、名詞とナ形容詞の両方の特徴を持つ語(元気・自由・親切・幸せ・平和など)が存在するのです。
さらに、形容詞は人間の感情や感覚を表す「感情形容詞」と、性質や性状を表す「属性形容詞」に分かれます。
感情形容詞は心の内面を表現するため一人称の表現に限られるとか、二人称と三人称の場合は「~がる」「~そうだ」を付けるとか、色々ややこしい制約もあります。
例 〇私は不安だ。 ×母は不安だ。
〇母は不安がっている/不安そうだ。
また、「同じだ」は「ナ形容詞」の活用を持つのですが、連体形は「同じ」となります。
例 ×同じな人 〇同じ人
〇静かな人 ×静か人
形容詞ひとつとっても、日本語は奥が深いですね。
私たちにとって母語である日本語は、自然と身についた言葉ですが、これらを一から勉強して身に付けていく外国人の日本語学習者、すごいと思います。
日本人の皆さんは、片言の日本語を一生懸命話す外国人とは、どうか「やさしい日本語」を使って会話してください。
「やさしい日本語」は、「ハサミの法則」が大事でした。「ハサミの法則」覚えていますか?もし忘れてしまった場合は、もう一度なでしこの「やさしい日本語を使って外国人を戦略化しよう」をご覧くださいね!